バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理

技術に自信がなくても表現を出していい

あなたは、踊りや音楽や絵などで表現することはお好きですか?

手作りをしたり、洋服で個性を出すことが好きという人もいるでしょう。

日本人に多いのが「表現する」ということは自分には出来ない・恥ずかしい・関係ないことだとあきらめてしまっているケースです。

バレエでも表現をするために踊りのテクニックを学んでいきます。

でも、こんな風に思ってしまうことはありませんか?

「バレエのレッスンで体を動かすのは好きなんだけど、わたしが何かを踊って表現をするなんて、考えられないです…!」

あるいはこんなケースもあります。

「わたしがもしも好きなように上手く踊れるなら、堂々と表現して楽しみたいけれど、そのレベルに達していないから、そんなことを言うのが恥ずかしいなぁと思ってしまう」

「表現する」という言葉に対して、多くは二つのパターンに反応が分かれます。

ひとつは、表現するということに対して抵抗がなく、前向きに捉えられる人。

もうひとつは、表現するということが自分には遠いイメージがあり、自信が持てない人。

子供の頃から表現活動を何かしらしていると、前者のようになりやすいですが、経験がなく大人になってしまうと後者になりやすいものです。

私はどちらの方へもレッスンをしていますが、後者の方であっても、少しずつ前向きになっていく姿をサポートしています。

これは、表現をするということの羞恥心や複雑な心理が絡むものだなぁと日々思います。

ここに隠れているのは、技術力と自信との葛藤であったり、自分を表現することによる人から見られた視線への恥ずかしさ、運動と表現との違い、などがあります。

私がみなさんへ声を大にしてお伝えしたいのは、表現をすることと、技術レベルの条件は別物であるということです。

初心者から見ると「技術力の高い人しか表現をしてはいけないのではないか…」という圧力を感じてしまうかもしれません。

私個人の考えとしては、技術力と表現力というのは別の尺度です。

技術力があっても表現力が足りないこともあれば、表現力があっても技術力が足りないこともあります。

それは確かに両方バランスが取れて高ければ自己満足度は上がることでしょう。

でも、それに達するまでにバレエを志す人は地球上で何千人も何万人も修行を続けるのです。

バレエはそういうものだと言えば、確かにそうですが、それらを必須条件にされるのはプロの雇用されるダンサーたちです。

その基準を一般的な趣味のレベルの人にも落とし込むべきなのか、というと、私には疑問が残ります。

何故ならば、生涯学習としての趣味のバレエは、運動面だけでなく、音楽性・物語性・芸術性・美的感性 などスポーツ以外の面も教養教育になる芸術です。

受け身として鑑賞するだけではなく、自分の生身の心身を使って肉体そのものが芸術となり、それを体験することができ、経験が人生になっていく、そんな数少ない芸術の一つです。

観るのと自分でやるのは大違い、ということもよく実感できるアートです。

学校では教えることのできない人間の人生にかけがえのない学びを与えてくれる芸術活動なのですから、技術力が達するまで表現力を封じるというのは本末転倒ではないかと私は思います。

赤ちゃんが音楽にのってダンスをするようなとき、赤ちゃんは技術力を学んでいないですが、音楽にのって楽しんでいる姿が表現をしています。

赤ちゃんが小さくて愛らしいから可愛いだけではなく、人間がまだ言葉を分からないくらい幼い年齢でも、音楽にのってリズムにのるとウキウキするということと、それを見ている人も楽しい感情になれると言うことを教えてくれているのです。

インコなども音を察知して体をダンスのように動かすことがあります。

音に敏感な動物にとっては、リズムに体を動かすのは本能的な行動とも考えられるのではないかと思います。

「表現」という言葉は、わたしたち現代の日本人にとって、少し大風呂敷を広げるようなニュアンスを感じてしまうかもしれません。

「わたしには大げさな気がする」という方へは、バレエのレベルに関係なく「表現をすることが好き」と言える生徒さんがわたしの元に集まっていらっしゃることもぜひお伝えしたいです。

あなたの周りにはまだいないかもしれませんが、実はバレエが好きという方には、シャイそうに見えたりしても「踊ることが自分らしく感じられる」「日常を忘れて表現することが好きなんです」という方々が実は多いのです。

「表現する」という言葉がまだこそばゆく感じてしまったり、自分にはまだ縁がないものだと思っている方にこそ、「表現するということが実は自分自身になっていくこと」だということをこの連載でお伝えしていきたいとと思います。

技術が未完成でもいい。あなたも「表現」を今すぐ始めよう。

特別なことではない、心と心のコミュニケーションなのだから。