バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理

ヒューストン・バレエ公演前のプレ・イベントに行ってきました(光藍社さん主催)

ヒューストン・バレエ団の初来日が迫り、10/29,30に開催される本公演前のプレ・イベントとして、主演ダンサーのパフォーマンスとトークイベントにご招待いただき参加してきました!

筆者撮影

登壇のダンサーは、プリンシパルの加治屋百合子さんとコナー・ウォルシュさんです。司会は富永明子さんでした。

この度の来日公演で、白鳥の湖公演で2回主演を務めるお二人の素晴らしい演技をご披露いただきました。

スタントン・ウェルチ版による、白鳥の湖の第3幕《乙女と王子のパ・ド・ドゥ》の一部です。

白鳥の湖において、ふつうの演出ではオデットは白鳥として演じることが主なので、「乙女」という役柄はあまり馴染みがないかもしれません。でも、このウェルチ版では、昼は白鳥、夜は人間の姿に戻っている乙女を演じ分けるのです。

つまり、従来の白鳥の湖の設定を生かし、オデット姫はチュチュ姿になったり、ドレス姿になったりもするそうです。

ダンサーは早替えが大変なようですが、物語としては王子と乙女の人間同士の恋愛を描くことになり、よりドラマティックな白鳥の湖のストーリーが繰り広げられることになります。

至近距離でスタジオ・パフォーマンスを見せていただき、始まった途端、お二人の迫真の演技でスタジオの空気が一気に白鳥の湖の佳境である《オデットは王子を許すことができるのか?》という世界にガラっと変わりました。

当日SNSでライブ配信されていましたが、アーカイブがありますので、光藍社さんYouTubeアカウントのリンクから視聴できます。

こちらのプレイベントはマスコミ・メディアでも取り上げられています。

インタビューも内容の濃いお話を伺うことができました。

ダンサーとしての目線で白鳥の湖を語ってくださいました。ここではきっちりとしたレポートではありませんが、感想をご紹介します。

お二人とも共通しておられたことは、演じようとする領域を超えて、衣装を着て、音楽が始まり、お互いにパ・ド・ドゥが始まると、言葉を介すことなくしても以心伝心のように息を合わせることができるというところでした。

パートナーによって踊る感情の引き出され方が変わることもあるようですが、加治屋百合子さんとコナー・ウォルシュさんは初めて組んでいるにも関わらず、周囲もそれを忘れてしまうほど、そして言葉でいちいち言わなくてもお互いに感じているのですぐ要点がつかめるということをお話しされていました。パートナーとのコミュニケーションも大事なことですよね。

物語の解釈としても、お二人それぞれの目線で、なぜ2人は惹かれ合ったのだろうかという点でも質問がありました。

コナー・ウォルシュさんは花嫁候補を探さないといけないと命じられてもなかなか本当の恋が見つからなかった王子にとって、白鳥に出会い、どこか二人とも影があるような、人には言えない秘密のようなものをそっと抱えているところも惹かれ合った要因なのではとおっしゃっていました。

加治屋さんは、コナーさんの目線に加えて、ようやく王子に出会えて本物の愛で魔法が解けるかもしれない、というところに万が一ロットバルトに見つかってしまったら危ないから、早く逃げてという気持ちも入り混じってしまうとお話ししてくださいました。

どんな人に見にきて欲しいか、見どころについて、というお話では、コナー・ウォルシュさんが白鳥の湖は悲しみと希望が両方テーマにある作品なので、現代でいろんな感情を抱えている人にもなにかしら伝わるものがあるのではないかとお話しされました。舞台は生であるからこそ、ビデオでは伝えられない臨場感のようなものも味わってほしいということでした。また、王子としては、白鳥のコールドバレエの美しさにも感動することや、白鳥の柔らかい姿を初めて手に取ってパ・ド・ドゥが始まり、胸の内に入れて踊っていく喜びも素晴らしいことであるとお話されていたことが印象的でした。

加治屋さんは、特にプリンシパルとしてのパ・ド・ドゥを務めるにあたり、感情をぶつけることができ、また感情を一つにできるパートナーというのは貴重な存在であって、ふだんの他のパートナーさん以上に、コナー・ウォルシュさんとは一体化して踊っていることを強く実感できるとおっしゃっていました。また、白鳥という役柄だけめはなく、オディール・黒鳥という役柄についても、普段の生活ではできないことを舞台上で女優として演じる楽しみがあり、達成感を味わうことのできる作品であることも付け加えてくださいました。

最後の質問の場で、ヒューストン・バレエのカンパニーの特徴をお聞きしました。

ヒューストン・バレエの特徴で第一には、ドラマティック・バレエが特徴であることということでした。そして、バレエ団の歴史からもベン・スティーブンソン、ケネス・マクミラン、ほか古典も現代も意欲的に取り組み、現在のスタントン・ウェルチ氏率いる精力的なカンパニーであること。さらには、ダンサーや周囲がお互いによく支え合っている印象が強いことで、一人じゃないという気持ちになれることもお話しくださいました。

貴重なお話を長々とお聞きできましたので、ここでは私の意訳も混ざっていますが、第一線のプリンシパルでおられる加治屋百合子さんとコナー・ウォルシュさんにお会いできた感想を記しておきたいと思います。

貴重な機会をありがとうございました!

本公演のチケット情報はこちらから

当日券は以下の通りのようです。

ヒューストン・バレエ「白鳥の湖」

振付:S.ウェルチ 原振付:M.プティパ、L.イワノフ 作曲:P.チャイコフスキー

管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー

公演日程

■10月29日(土) 12時開演

ベッケイン・シスク&チェイス・オコーネル

■10月29日(土) 17時開演

加治屋百合子&コナー・ウォルシュ

■10月30日(日) 12時開演

サラ・レイン&吉山シャール ルイ・アンドレ

■10月30日(日) 17時開演

加治屋百合子&コナー・ウォルシュ