「体の軸」を作ることは、体づくりの基本です。
ヨガのポーズをしていて 「なんだか綺麗に全身が調和して見えるなぁ〜」 という人の体には、軸が通っています。
逆に同じポーズをしているのに 「どこか安定しなくて落ち着かないなぁ」というときは、 軸が作れていないものです。
でも、「体の軸」とは 目に見えないイメージで曖昧に聞こえると思います。
指導者によっても、多少のニュアンスが変わるでしょう。
あえて、ヨガとバレエと両方実践している自分の感覚をお伝えするならば
体の軸は、2種類の捉え方をしています。
動きの場面によって、スイッチを切り替えるように 使い分けています 。
ダンスやスポーツで、なめらかな動きを求めたい人には 参考になることがあるかもしれません。
2種類の「体の軸」の捉え方
ひとつは 《がっしりと強固に安定させるような軸》
もうひとつは 《小さな変化を吸収しながら全体ではしなやかに調和する軸》 です。
1.がっしりと強固に安定させる軸
これは、みなさんがイメージしやすいものです。 軸の基本、体づくりの基本です。
- グラグラしない、ぶれない
- 片足バランスをキープするときの感覚
- 重心に集める
レッスンでも、こうした基本を作るための方法をお伝えしています。
でも、体は静止しているだけではない
体には動きがあります。だから、安定させるだけでは足りません。
様々なダンス・スポーツ・日常の動作へも応用させるには、もうひとつの軸の使い方が活きてきます。
2.小さな変化を吸収しながらも、全体ではしなやかに調和する軸
1.の安定させる軸では、まっすぐ伸びて形の変わらないもののように思えますが、 こちらの場合、 形は多少変わることができて、竹のようにしなやかなものと捉えます。
少し抽象的な言い方なので、例をあげましょう。
例:電車で立ってバランスをとるとき
あなたが電車に乗っていて、ちょうど手すりなどがない場所で立っていると想像してみてください。
電車は発車・停車のたびに揺れます。
あなたは体がひっくり返らないようにバランスを取っています。
そのとき、体を一点に集めたり、がっしりと固定させている人はいません。
ほどよく力が抜けていて、多少の揺れを吸収しながら、逃がすようにします。
揺れの大きさによっては「おっとっと〜」と少し重心がぶれることもありますが、 全体でしなやかに吸収していれば、体は倒れません。
この電車の小さな揺れを吸収するようなイメージが 《小さな変化を吸収しながらも、全体ではしなやかに調和する軸》 に近いものです。
軸というと、いつでもまっすぐ形の変わらないものとイメージされる方が多いのですが、
体の使い方を深く感じていくには、 しなやかさがある軸という捉え方も、気づきのヒントになります。
ぶれない精神をもっている人
現実の社会でも、ぶれない精神をもっている人は、 決して頑なにぶれない安定感をキープしているわけではなく、 あらゆる変化のさざ波もうまくかわしつつ、全体をみればその人らしさが一貫しています。
体の軸も「小さな変化をいかに吸収していくか」がキーになる
体の軸にも似たような面があります。
強固にがっしりと安定させた軸の使い方もありますが、 静止から動く瞬間や、動きと動きをつなげていくには、強固に安定させてしまうとぎこちなくなります。
だから、小さな変化を吸収しつつ、全体では調和するくらいの しなやかな軸も使い分けることができると、動きの質が変わります。
バレリーナたちの動きがダイナミックな割になめらかなのは、 安定させる軸だけでなく、しなやかな軸についても 感覚を研ぎ澄ましているからです。
まとめ
軸の基本は、強固に安定感を作り出すような軸です。 動きの質を高めるためには、多少の動きの幅を持たせても全体で調和させるしなやかな軸も必要になります。
こんなイメージを持つと、 バレリーナのような優雅な動作へ近づくヒントになっていくでしょう。