バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理

美は背中に宿る 〜背中から始まる優雅でしなやかな体づくり〜

背中に心が表れる

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バレエのレッスンの後ろ姿を見ると、心の状態は立ち表れることをバレエ教師の先生方はよく知っています。
”今日はクリアに引きあがっているな”とか、”なにか心配なことでもあったのかな”といった具合に見え透いてしまいます。

そう思うと、ちょっと恐ろしいな・・・と感じるけれど、体の対話とはそれほど深い感性が研ぎ澄まされるものでもあります。

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背中には心が現れる

背中は、心の疲れや不安、悩みなどといったものが表れやすいのです。
プレッシャーやストレスについて、”背負う”という言葉を日本語では用いますが、体の声をうまく表現しているなぁと感じます。背中を見せるとは、それだけの緊張感をもって見せることだと思います。

凜とした空気を、背中にまとわせて。

バレエヨガでは、背中は体づくりの中心であり核です。

背中は体づくりの土台

上半身の中でも背中は、背骨・肋骨・骨盤を包み込む大きなパーツであり、手脚にもつながっていて、全身のバランスを調和させる大切な鍵になります。

背中が整えば、凜とした空気が生まれる。
立ち姿で存在感が生まれる。
女性らしい背筋に美しさが宿る。
余分な緊張がぬけて高みへ伸びていく。

そんなしなやかなカーブは、目で見て美しく、自分自身も心地よいものです。

感じる背中を自分でつくる

私は、背中の構えの姿勢を作るためには、「感じる背中」を自分自身で作ることが大切だと考えています。

背中には目がありません。でも、360度の気配を感じるほどに周りの空気感や、背中の内の感覚を研ぎ澄ませていくのです。

女性らしい美しい空気感、艶感、色気のようなものは、背中があってこそ生まれるものだと思っています(バレリーナだけでなく、モデルさんや美意識の高い女性ほどこの話をすると共感してくださいます)。

変えられるのは、自分自身

だれがどんなに修正してあげたり、手入れしてあげようとも、本人の意識によって変革を起こさない限り、美しい背中は手に入りません。

”〜さえやればいい”とか、”〜だけで綺麗になる”といったものは、その場限りの解決にしかならないことがほとんどで、一流の素晴らしい演技者の方ほどそういったことを心得ていつでも謙虚に学び続けていらっしゃるのだと思います。

バレエの立ち姿勢の作り方の例

バレリーナの背中は、どれほど細かく洗練させていくのか。

こちらの写真を見比べてみてください。

一見した限りでは、バレエをあまり知らない人にとって、あまり違いのないような姿勢に見えると思います。あらゆる人の姿勢を観察してみたら、もっと猫背に見える方は多くいらっしゃると思います。

でも、バレリーナにとってはこれは大きな違いです。 体の軸から観察してみると、こうなります。

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一番右が軸を感じてまっすぐに立っている状態です。

そして中央と左は、背中が崩れています。

左は、背中のアーチが丸まって肩が前に閉じてしまっています。首もすくんでしまい、頭も下に落ちています。腰もつぶれています。

中央は、ぱっと見て綺麗な姿勢に見えるかもしれませんが、軸と上半身の引き上げができていなく、おしりが突き出ています。これは、腹筋や体幹の筋肉が使えていない状態でもあります。

体の中の1ミリの差を感じる

バレエをしていない人にとっては綺麗な姿勢に見えるかもしれませんが、バレリーナにとっては右の状態まで軸を細く長く作り上げる必要があるのです。

この姿勢を保つには、もちろん長年の訓練と柔軟性・筋肉の状態などあらゆる条件が関わっています。

でももっと大切なことは、体にとって1センチ、1ミリの違いは大きな差だというのを感じることです。

体の感覚を研ぎ澄ませていくということは、それだけ小さい単位の違いを認識しながら、自分の意思で制御していく訓練だということ。

その違いを自分で正しく理解するためにも、「感じる背中」を自分自身で作り上げていくこと。そうすることで背中の感性は高まっていきます。