バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理

ピアニスト辻井伸行さんの生演奏を聴きに。

10月5日、少し前のことですが、ピアニスト辻井伸行さんの生演奏を聴きにサントリーホールのブルーローズへ出かけました。

ブルーローズは小さいホールで昔のサロンを思わせるような素敵なホール。

この日は、辻井伸行さん以外にも演目があり、ピアノも弦楽四重奏もみんな至近距離でぐっと近くに感じられました。

サントリーホールARKクラシックス前夜祭

バッハ:イタリア風アリアと変奏 イ短調 BWV989

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第1番 へ短調作品2-1

(ヴィキングル・オラフソン ピアノ)

ドヴォロザーク;弦楽四重奏曲 第12番 へ長調 作品96 B.179《アメリカ》

(三浦文彰・川久保賜紀 ヴァイオリン、レヒ・アントニオ・ウジンスキ ヴィオラ、ヨナタン・ローゼマン チェロ)

ドビュッシー:映像 第1集[水に映る影/ラモーをたたえて/動き]

(辻井伸行 ピアノ)

フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調

(三浦文彰 ヴァイオリン、辻井伸行 ピアノ) (敬称略)

どちらの作品も伝わってくる印象がまったく異なるものでした。指先やお腹にまで低音や弦の深い振動までもが響いてきて、演奏家の息づかいまで聞こえてくるよう。

そして特に気になっていた辻井伸行さんの生の音色は、演奏できない私でも、あたたかい心が丁寧にゆき届いているように感じられます。

なんだか不思議なんですが、今までに経験したことない感覚が呼び覚まされました。

星のようにきらめく音が、空からふわぁーっとやさしくしっとりとシャワーのように降ってきて。弾き方でこんなに変わるのだなぁとつくづく驚いてしまいます。

辻井さんのおかげで、耳が新たな世界を知った感覚です。目が見えないけれども私たちには見えない美しい世界が見えているような辻井さん。

そんな辻井さんにしか見えない美しい世界を、ピアノを通してでも少しでもつぶさに感じ取りたいなぁと思うと、一音一音にもっと寄り添える自分がいるのを感じました。

いつも音楽を聴いているつもりでも、「本当に聴けていたかなぁ」と考えさせられるような、耳の新しい世界。

自分のセンサーをもっと繊細に高感度にするつもりで、「もっと深く聴く」という世界に引き込まれていくのです。

これはやはり辻井伸行さんのマジックなのだと思います。

ドビュッシーの映像第1集は辻井さんのご本でも触れられていた作品だったので、生で聞けて嬉しかったです。「映像」というタイトルの曲ですが、視覚が見えない人間でも色彩豊かに演奏できることを表現されたというエピソードが印象に残っていました。

そしてさらに気づいたのは、音として知覚できるかできないかがあったとしても、空気の振動で全身伝わってくるすべてが聞くことである。それは音楽だけでなく、人との会話にも通じることなんだと思うのですね。しっかり傾聴するための自分自身の構えという意味で。

私は音楽を聴くとやはり踊りと連携させてしまいますので、踊りたくなるイメージが浮かぶ感覚があります。でも気持ちの余裕がないとその感覚は閉じてしまう。だから、しっかりと開けておかないといけません。

そこまでが私にとっての聞くことなんですよね。

あらためて自己認識した気づきでもありました。

神様のギフトです。

辻井伸行さんの本も読み、幼児期から学校時代とコンクールで優勝するまでの過程にもぐっと胸が熱くなりました。

また、音楽は何度もリピートして聴いています。一番大好きなのは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番です。イギリスでのプロムスコンサートのDVD、熱演と大喝采に何度も涙が出てきます。これについてはまた別の機会に書きます。

冬もたくさんコンサートがおありのようなので、必ず行きたいです!